全国「精神病」者集団(公式サイトの保存用)

全国「精神病」者集団が2つに分かれることになったことに伴って、公式サイトの内容を保存するためのサイトです

2016年7月全国「精神病」者集団ニュース抜粋

 ごあいさつ

酷暑の季節をむかえました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

熊本・大分は震災後さらに豪雨による被害と度重なる天災で復興もままならぬ状態と聞き及びます。天災といえども平等に被害があるわけではなく、取り分けて弱者障害者には厳しい日々がまだ続いているとあんじております。幸い会員はみなご無事でしたが、今後の暮らしの立て直しはまだまだ時間がかかりますでしょう。くれぐれもご自愛くださるようお祈りいたします。

全国「精神病」者集団も大きな曲がり角に差し掛かっていると感じております。2002年より医療観察法廃止闘争、そして平行して障害者権利条約の作成に参加してきましたが、いま日本政府は批准はしたものの、精神障害者知的障害者についてはむしろ逆行した動きが進んでいます。

差別解消法は成立施行されても、危険運転罪や道路交通法の改悪、さらにはなんと成年後見人制度改悪、と精神障害者知的障害者への差別はますます強化されています。施設や精神病院での虐待事件も頻発していますが、政府は障害者虐待防止法の改正に手をつけるどころか、精神保健福祉法を改悪して、「重度かつ慢性」とされた人の長期入院を正当化、さらには地域でも実質的な強制通院制度をひこうとしています。

障害者の状況だけが改善されることはありえません。中世並みと言われた日本の刑事司法、そもそも差別禁止法も存在せず、国連人権勧告の受け皿となるべき国内人権機関すら、日本にはありません。こうした人権水準一般を問題にしないと、障害者差別解消は不可能です。

未だ謝罪どころか調査すらしようとしない優生保護法による強制不妊手術、そして何より、圧倒的な隔離収容の実態は変わらず、毎年新規の強制入院は増え続け、身体拘束隔離も増え続けています。障害者解放運動を推し進めるとともに人権闘争への合流こそ今問われていると考えます。

                                                  (山本眞理)

 

 

 

全国「精神病」者集団全会員に訴える 山本真理

 久しぶりのニュースとなりました。昨年12月に私としては衝撃の事実を知って依頼、長年の疲れがどっと出ております。

それは関口さん、桐原さんが全国「精神病」者集団の肩書で日本病院地域精神医学会の理事となっていということ、さらには、関口さんは武蔵野の事業所MEWの理事でしたが、なんと肩書が全国「精神病」者集団運営委員となっているということです。

サービス提供事業所と私たちの全国「精神病」者集団としての権利主張活動個別の権利擁護のみならず、アドボケイト活動は政策提言も含めて時に厳しく対立します。そういう意味で精神保健福祉体制の専門職団体およびサービス提供事業所との関係は全国「精神病」者集団としてはけじめをつけてきました。専門職との共闘は常に課題別の共闘に止めてきたのです。とりわけ病院地域精神医学会は全国「精神病」者集団に対して数々の裏切りや利用主義を重ねさらに一切この間の提起にも答えていません。それにもかかわらずなんの議論も方針も共有しないままにこの事態が起きたことは私を打ちのめしました。ああそうかここ数年間私が耐えてきた彼らの罵倒はそういう姿勢からきている、あるいは専門職団体からの全国「精神病」者集団破壊工作ではとすら疑いました。もう全国「精神病」者集団は私のいる場ではない、あるいは全国「精神病」者集団は解散しなければならないとさえ考えています。

全国「精神病」者集団として方針討論がこの間全くできていません。何度も運営委員会に呼びかけましたが、運営委員からは多忙ということで返事もなく、議論できていません。

もっとも公平に言えば昨年4月1日に関口さんが表明したように、山本は議論ができない人の話を聞けない人間で迷惑千万ということもあったのかもしれません。その証拠に、この事実を知って以来、私が運営委員会に出なくなってからは月一度も持てなかった運営委員会が順調に定期的に開かれ、議論がされているようです。ですからひとえに私の存在が妨害であったということも言えるのかもしれません。また関口さんも桐原さんも私を罵倒したことは一度もないと宣言しています。

全国「精神病」者集団というと事務所にスタッフがいて机を並べて仕事しているかという誤解を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実質専従はいませんし、事務所にも誰もおりません。全国「精神病」者集団が条約の履行に向けどういう運動をしていくのか方針討論もできていません。そういう実態で障がい者制度改革推進委員会に参加してしまったり、日本障害フォーラムに参加したりしているのです。

そうしたこともあり、他の要因が大きかったにせよ、第一次報告書には精神保健法は逮捕監禁罪免責のための法律でありだから指定医制度ができたということを書き込めなかったし、総合福祉部会の骨格提言には意思決定支援という言葉を容認してしまったのです。準備不足資源不足、人手不足だったことは否定できません。

かつては名古屋に事務所があり大野さんが専従を努めており、二ヶ月に一回顔を合わせて討論して方針を決めるということが可能でしたし、また会員も50名程度の活動家の集団であり、活動現場もともにしてそれなりの信頼関係を持つことが可能でした。しかし名古屋事務所がなくなって以降、皆が顔を合わせて議論する機会が全く持てず、全活動現場も共有しているわけではありません。また会員は10倍近くに増えたものの、活動家の数はむしろ減っていますし、財政規模も半分ほどにまで減っています、圧倒的に資源不足という実態といっていいでしょう。

今あらゆるレベルで反動の時代、障害者権利条約の水準が全て精神障害者知的障害者には適用されず、排除と周辺化が進んでいる時、私たちはこの間の総括と方針討論をすることが必須と考えております。

とりあえず会員交流会の席で議論を深めてまいりたいと思います。私たちは何者か、そして何のために全国「精神病」者集団が必要なのか。あるいは必要ないのか、解散すべきなのか。 専門職団体およびサービス提供事業所との関係は 独立性とは、などなど

また日本障害フォーラムとの関係性も今後議論していく必要あります。なんせ大多数の団体は成年後見人制度推進派ですし。 なお今運営委員会でも全会員に呼びかけた討論会の準備も進めているとのことです。 スカイプ参加も可能ですので、ぜひ多くの方のご参加を8月の交流会では薬を使わないスエーデンの試み『癒しの家』の上映もいたします。

2016年6月22日「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会 厚生労働省交渉報告

 

障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動は、障害者自立支援法反対闘争以来、障害者の地域生活確立をめぐり自立支援法および障害者総合支援法の運用について厚生労働省と交渉を重ねてきました。全国「精神病」者集団も一員としてこの交渉に参加し、要望書の作成などに参加してきました。

6月22日の要望書をご希望の方は窓口にご連絡を、インターネットをお使いの方にはメールでお送りいたします。お使いでない方には郵送いたしますが、コピー代送料実費ご負担お願い致します。

以下交渉に参加した桐原さんの報告です                                                   (山本)

 

6・22 大行動の報告

運営委員 桐原尚之

 

2016年6月22日、運営委員の関口と桐原、及び支援者1名で全国大行動の厚生労働省交渉に参加した。精神障害者の団体としては、全国「精神病」者集団の他に“こらーるたいとう”から3名の当事者がかけつけた。

主に精神障害者に関する部分のみ要点をまとめて、①重度訪問介護精神障害者に利用拡大されたことについて、②自立生活援助の受給者が事業者の従業者になることについて、③ピアサポーターについて、の3点の交渉について報告する。

前回の障害者総合支援法の改正で重度訪問介護の対象に精神障害者が加わり、この度の

法改正では、入院中の精神障害者が重度訪問介護を利用できるようになった。しかし、厚生労働省によると、入院中の重度訪問介護の利用は入院前に支給決定を受けて既に利用をしている人だけを対象にしているとのことであった。そのため、長期入院者が地域に移行するにあたって重度訪問介護の支給申請をすることは、できないようである。このことについて言及したところ、入院中に外出支援などをする場合は移動支援の支給決定を受けることができる、という明らかに誤魔化しめいた回答が返ってきた。とりあえず、入院中の人が外出目的で申請・受給する場合は、移動支援になるようである。また、重度訪問介護の従業者(ヘルパー)は、精神保健指定医によって面会制限することができるようである。ほとんどの精神科病院は山奥などの郊外に建てられているが、このような遠いところにヘルパーが移動して、結果的に精神保健指定医の気まぐれで面会制限された場合には、報酬の請求ができるのだろうか。できないとしたら業務妨害以外のなにものでもないように思う。

自立生活援助については、受給者が事業所の担い手になれるならばピアサポート体制になり得るという見立てのもと、受給者が事業者の従業者になれるのかを質問した。その結果、厚生労働省は、受給者が従業者になることを妨げるものではない、と回答した。地域単位の活動次第では、精神障害者相互の助け合いの体制が実現するかもしれない。

 そして、最後のピアサポーターについては、精神保健福祉法の改正の枠内で代弁者・権利擁護者なるものへの期待が高まっているようであるが、その担い手をピアサポーターにするという提案を受けて質問項目に入れることにしたものである。ここで最も言いたいことは、検討会でいわれているアドボケーター(?)としてのピアサポーター像に問題があるということである。厚生労働省は「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」として、3つの精神科病院で入院患者のアドボケーターを配置するモデル事業を実施した。アドボケーターは、ピアサポーターなのだが、ピアサポーターは入院中の仲間の状態について逐一記録を付けて看護師や医師に診せること、ピアサポーターは入院患者に情報提供をしてはならず、話しを聞き続けなければならないこと、などのルールが敷かれていたのだという。これではピアサポートとはいえないし、このようなものをアドボケーターとして審議していること自体に批判をする必要があると思った。