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6.26緊急集会速報No.6

生活をするのは普通の場所がいい STOP! 精神科病棟転換型居住系施設!! 6.26緊急集会 速報 第6号(2014年6月19日) 発行:病棟転換型居住系施設について考える会

6・26『速報』№06(20140619)厚労省》長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会 「取りまとめ」の強行ひとまず回避 7月1日へ延長 6月17日に開催された本検討会は,これまで以上に多くの傍聴者が詰めかけ,この問題への関心が広がっていることがわかった。冒頭福島県のあさかホスピタルにおける地域移行の試みが紹介され、その後本検討会における(取りまとめ)(案)について、事務局から説明があり、討論が行われた。(取りまとめ(案)本紙2~8ページ)。 詳細は、後日示される厚労省による議事録に譲りたいが、印象に残った発言を紹介したい。 「医療の方向性を明確にすることは必要だが、病床を転換し住まいにすることは反対する。また、訓練は病院の中ですることと地域ですることは違う。地域でやることが大切。長期入院の人をつくらないこと。また、家族への支援も含め、本人・家族の生活を支えるシステムを」というみんなねっとの良田かおり構成員の発言。 「長期入院者の地域移行に向けた方策を議論が不十分。本検討会は精神科病院の事業移行の検討会になった。取りまとめ案の前半は、『検討する』という末尾で終わっている項目が多く、弱い」と全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)代表の伊澤雄一構成員。 「20万人いるという長期入院者が年間5万人退院しているが、新たに入院している人が5万人いる。新たな長期入院の発生を防ぐことができない全体状況がある」「入院時の入口の問題をきちんとすること、長期入院を未然に防ぐために1年未満の入院者を地域移行の対象とすること」と急性期医療の立場から千葉県精神科医療センターの平田豊明構成員が発言。 「集約して不要となった病棟は削減する、と書くべき。空いている病棟があれば、入れてしまう。地域での暮らしの場をつくることが原則だが、退院の意思をもたない人をどうするのか。デリケートな問題」と毎日新聞論説委員野沢和弘構成員。 精神医療サバイバーの広田和子構成員は、「病床転換のための費用が用意されていると言われているが、どうか」と厚労省に問いかける。(厚労省からは、904億円の基金は、精神障害に特化されたものではなく、具体的には例示をしているだけ。病院の建物設備につういては、この検討会で審議中と)。 「全国精神保健福祉センター長会でアンケートを行ったが、病棟を転換し住まいにということはよろしくないという意見が多い。現状のグループホームの設置基準(入所施設、病院の敷地外であること)は守るべき」と精神保健福祉センター長会田邉等構成員。 「社会的入院は社会の問題によって起こっている。病院の問題ではない。病院が改革できることは少ない。一方で、この国にはお金がない。財源がない。GH、公営住宅お金がかかって仕方がない。ある資源は使い倒していこう」と青南病院院長の千葉潜構成員。 「すでに生活の場となっている病棟は、何らかの施設にしないと矛盾は解決しない」と伊豫雅臣構成員(千葉大学大学院)。

議論が尽くされていないと次回7月1日18時~20時に検討会の開催が座長から告げられた。

 

第3回 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会 平成26年6月17日(火) 資料1-1

長期入院精神障害者の地域移行に向けた 具体的方策の今後の方向性 (取りまとめ)(案)

~目次~ 《本編》 1.総論 (1)精神障害者の地域移行及び入院医療のこれまで及び現状 (2)長期入院精神障害者の地域移行及び精神医療の将来像 (3)将来像実現のための病院の構造改革 (4)その他 2.患者本人に対する支援の具体的方策の方向性 ア-1 退院に向けた意欲喚起 (1)病院スタッフからの働きかけの促進 (2)外部支援者等との関わりの確保 ア-2 本人の意向に沿った移行支援 (1)地域移行後の生活準備に向けた支援 (2)地域移行に向けたステップとしての支援 (3)外部支援者等との関わりの確保【再掲】 イ 地域生活の支援 (1)居住の場の確保 (2)地域生活を支えるサービスの確保 (3)その他 ウ 関係行政機関の役割 3.病院の構造改革の方向性 (1)病床が適正化され削減されるまでの間、地域移行支援機能を強化する方策 (2)病床の適正化により将来的に不必要となった建物設備を有効活用する方策

《概要編》※本紙では省略 概要① 長期入院精神障害者の地域移行の流れと主な方策 概要② 構造改革によって実現される病院の将来像(イメージ) 概要③ 地域移行支援を強化して行う病床を利用する精神障害者の地域移行に向けた具体的方策

長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策については、平成26年3月以降、●回の検討会、●回の作業チームで議論を重ねた。そのポイントは以下のとおり。

1.総論

(1)精神障害者の地域移行及び入院医療のこれまで及び現状 ○平成16年9月に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」に基づき、様々な施策を行ってきたが、精神科入院医療の現状は以下のとおりであり、依然課題が多い。 ・精神病床の人員配置は、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)上、一般病床よりも低く設定 ・1年以上の長期入院患者は約20万人(入院患者全体の3分の2) ・長期入院患者は減少傾向だが、65歳以上の長期入院患者は増加傾向 ・死亡による退院は増加傾向(年間1万人超の長期入院患者が死亡により退院) ○こうした中、精神障害者の地域生活への移行を促進するため、平成25年6月に成立した精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第47号。「改正精神保健福祉法」という。)により、以下を実施。 ・良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供に関する指針(以下「指針」という。)を定め、急性期の精神障害者を対象とする精神病床においては医師及び看護職員の配置を一般病床と同等とすることを目指すことを記載 ・指針において、新たな入院患者は原則1年未満で退院する体制を確保することを記載 ・医療保護入院者を中心とした退院促進のための取組を精神科病院の管理者に義務づけ ○また、第4期障害福祉計画(平成27~29年)に係る国の基本指針において、1年以上の長期在院者数に係る減少目標等を設定。

(2)長期入院精神障害者の地域移行及び精神医療の将来像 ○指針においては、長期入院精神障害者の地域移行を更に進めるための地域の受け皿づくりの在り方等の具体的な方策の在り方について、引き続きの検討課題とした。 ○これを受け、以下を基本的考え方としながら検討会で議論を行った。 ・長期入院精神障害者本人の意向を最大限尊重しながら検討する。 ・地域生活に直接移行することが最も重要な視点であるが、新たな選択肢も含め、地域移行を一層推進するための取組を幅広い観点から検討する。 ○検討会においては、以下を長期入院精神障害者の地域移行及び精神医療の将来像とした。 ・長期入院精神障害者の地域移行を進めるため、本人に対する支援として、病院スタッフからの働きかけの促進等の「退院に向けた意欲の喚起」、地域移行後の生活準備に向けた支援等の「本人の意向に沿った移行支援」、居住の場の確保や地域生活を支える医療の充実等の「地域生活の支援」を徹底して実施 ・精神医療の質を一般医療と同等に良質かつ適切なものとするため、精神科救急・急性期について一般病床と同等の医師等を集約し、地域生活を支えるための医療を充実するとともに、回復期及び重度かつ慢性の症状を有する精神障害者の病床についてはそれぞれその機能及び特性に応じた人員配置及び環境を整備 ○長期入院精神障害者本人に対する支援の具体的方策の方向性については、2.のとおり

(3)将来像実現のための病院の構造改革 ○(2)の将来像のうち、精神科救急・急性期への医師等の集約と回復期の精神障害者及び重度かつ慢性の症状を有する精神障害者に対するそれぞれの機能と特性に応じた重点的な治療体制の構築並びに地域生活を支えるための医療の充実に向け、将来的に不必要となる病床を削減し、精神病床を適正化する病院の構造改革が必要。 ○病院の構造改革の方向性については、3.のとおり。 ○構造改革のためには、併せて、必要な医療に人員と治療機能を集約できる財政的な方策が必要。 ○なお、2.と3.については、2.により長期入院精神障害者の地域移行を進めるとともに、その後の地域生活を維持、継続するためには、3.による地域生活を支えるための医療の充実を図る構造改革が必要という関係にある。

(4)その他 ○国は、第4期障害福祉計画に係る基本指針等に基づき、長期入院精神障害者の地域移行が計画的に推進されるよう、都道府県で人材育成の中核となる官民の指導者を養成するための研修を行う等の措置を講ずる。併せて、長期入院精神障害者の地域移行方策及び病院の構造改革の効果的な実施手法について、検証する。

2.患者本人に対する支援の具体的方策の方向性

○患者本人に対する支援については、以下の地域移行の段階ごとに議論し、まとめた。 ア 退院に向けた支援 ア-1 退院に向けた意欲の喚起 ア-2 本人の意向に沿った移行支援 イ 地域生活の支援 ウ 関係行政機関の役割

ア 退院に向けた支援

ア-1 退院に向けた意欲の喚起

(1)病院スタッフからの働きかけの促進 ① 病院スタッフの地域移行に関する理解の促進 ・病院スタッフが、精神障害者の地域生活の実際を体験すること等を含めた地域移行に関する研修を当該地域管轄の保健所、外部の支援者、ピアサポーター等との協働により実施することを検討する。 ・医師、看護師等の教育現場において、教員・学生等が精神障害者の地域移行の重要性について理解を深めるよう、情報提供を行う。 また、医師、看護師等もその重要性について理解を深めるよう、卒後の研修について検討する。 ② 退院意欲の喚起を行うことができる環境の整備 ・指針に沿った病床機能の分化を進め、病床の地域移行支援機能を強化する。 ・医師、看護師等の地域生活を支えるための医療への移行について、検討する。

(2)外部の支援者等との関わりの確保 ① ピアサポート等の更なる活用 ・ピアサポートの活用状況について、これまでの予算事業での実績等から検証を行う。その際、併せて、ピアサポーターの育成や活用のための仕組みも検討する必要がある。 ・入院中の精神障害者が本人の意向に沿った形で、ピアサポーターや、外部の支援者等と交流する機会等が増加するよう、病棟プログラム、作業療法への参加、交流会の開催等の在り方について検討する。 ② 地域の障害福祉事業者等の更なる活用 ・行政事業レビューで廃止となった地域体制整備コーディネーターについて、これまでの実践内容や実績の再評価を行い、地域体制整備の在り方について検討する。 ・退院の意思が明確でないために個別給付ができない状態からの地域移行支援の活用について検討する。 ③ 関係行政機関の役割 ・改正精神保健福祉法に基づく退院後生活環境相談員の活動及び医療保護入院者退院支援委員会の実施状況や地域援助事業者の活動状況について、施行後の実態調査により、把握する。 ・保健所と市町村に地域体制整備のコーディネート機能を置き、「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」に位置付ける。 ・都道府県・保健所等、市町村による入院患者の実態把握を促進し、都道府県及び市町村において、必要サービス量を見込む際の参考とすることについて検討を行う。 ・非自発的入院について、保健所及び市町村担当部署は継続的に関与し、退院後生活環境相談員及び地域援助事業者等と協働し、地域移行支援を担うよう努める。 ④ その他 ・精神科病院の社会に開かれた環境(見舞い、外出をしやすい環境等)の整備を推進する。

ア-2 本人の意向に沿った移行支援(本人の状況に応じた移行先への「つなぎ」機能の強化)

(1)地域移行後の生活準備に向けた支援 ・精神科病院は、身体的機能も含めたアセスメントを行い、本人の意向に沿った支援計画を作成する。 ・身体的なリハビリテーションが必要な場合は対応する。 ・精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援について、情報提供や関係作りなど外部からの関わりとともに、院内における対応の在り方を引き続き多様に検討する。 ・入院中の精神障害者が、入院中から精神障害者保健福祉手帳等の申請や障害年金の受給に向けた支援、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や成年後見制度を活用するための支援、退院後に利用可能な障害福祉サービス、介護保険サービスについて検討と準備(障害支援区分認定、要介護認定を含む支給決定の申請の推進等)ができるよう、取組を進める。 ・地域生活を体験する機会の確保が促進されるよう病院、地域移行支援事業者による支援の在り方を検討する。

(2)地域移行に向けたステップとしての支援 ・入院中の精神障害者に対する金銭管理を含めた生活能力の訓練の在り方について検討する。 ・このほか、退院後生活環境相談員等が退院後の地域移行に向けたステップを調整する際、退院する者の状況に応じて障害福祉サービス、介護保険サービスを利用できるように、マネジメントを実施する。

(3)外部支援者等との関わりの確保【再掲】 ア-1(2)の取組を、移行支援においても引き続き実施する。

イ 地域生活の支援

(1)居住の場の確保 次のような居住先が考えられるが、それぞれについて、生活障害・要介護等の状態にある精神障害者の受入れに係る課題解消に向け、どのような施策対応が必要であるかを含め検討する。 ① 障害福祉サービス ・グループホーム ※サテライト型住居の活用や、高齢や重度の精神障害者を受け入れているグループホーム精神保健福祉士介護福祉士や看護師等の専門職が配置できるよう報酬上の評価が必要。 ② 高齢者向け住まい ・特別養護老人ホーム養護老人ホーム軽費老人ホーム認知症高齢グループホーム ・有料老人ホーム ・サービス付き高齢者向け住宅 ③ その他 a.一般住宅の活用 ・公営住宅の活用を促進する。 ・全国で起きている空家問題と連動して、長期入院者の退院支援(高齢・障害・ひとり親・生活保護・DV被害者シェルターなど厚生労働省の政策で必要な居住支援を含む。)で必要とされる居住施設不足の解消を図る。 ・障害保健福祉担当部局において、退院後生活環境相談員等に障害者の住まいの確保に係る住宅施策について周知を進める。また、(自立支援)協議会が居住支援協議会と連携し、貸主が精神障害者に住宅を提供する際に必要な情報の提供(一般財団法人高齢者住宅財団による賃貸住宅の家賃債務保証制度の利用を含む。)を行うこと等を通じて、精神障害者の具体的な地域生活の調整を図る。 ・一般住宅への入居希望がある場合に、入居が実現できるよう、保証人の確保や緊急時等の対応等を推進する。 b.その他 ・生活保護受給中の長期入院患者について、障害保健福祉担当部局と生活保護担当部局との連携強化や直ちに居宅生活が困難な者の救護・更生施設等の活用等による地域移行の促進について、検討する。 ・生活保護自立支援プログラムとして取り組まれてきた精神障害者退院促進事業は一定の効果があったことから、改めて福祉事務所等への退院推進員やコーディネーターの配置強化等について検討すべき。

(2)地域生活を支えるサービスの確保 本人の意向に寄り添い、医療と福祉の連携を基盤として、地域生活を支える。 ① 医療サービス ・地域定着に効果的な外来医療やデイケア等の在り方について、検討する。 ・アウトリーチ訪問看護等、訪問による医療支援の充実のための取組を進める。 ・退院後に介護保険施設に入所した場合も、継続的に病院のスタッフが訪問し、入所継続支援を行うことができるようにする。 ・病院と診療所及び福祉の事業所との連携を強化する。 ② 福祉サービス ・地域移行後における生活が安定的に維持されるよう地域定着支援の活用を進める。 ・居宅介護事業所の職員の精神障害者に対する支援能力向上について検討する。 ・短期入所の更なる活用について検討するため、モデル事業を実施する。 ・(自立支援)協議会において、必要に応じて、地域移行や居住支援など課題に対応した部会の設置等の働きかけを進める。 ・訪問による生活訓練を活用した地域生活支援の在り方について研究事業を実施する。 ・どの地域にあっても本人中心の相談支援を確実に実施できる体制づくりに向けて、相談支援専門員の質と量の確保に向けた方策について検討する。

(3)その他 ・緊急時を含め、家族が必要としたときに相談を受ける拠点となる機関について検討する。(精神保健福祉センター、保健所、相談支援事業所等)

ウ 関係行政機関の役割

都道府県・保健所等及び市町村が、PDCAサイクルにより長期入院精神障害者の地域移行を確実に実行していくための推進体制を構築する。 ○都道府県・保健所等は、改正精神保健福祉法及び指針の趣旨に基づく医療機関の地域移行に関する取組が効果的なものとなるよう、その取組状況を把握・確認し、必要な支援に努める。 ○都道府県・保健所等及び市町村は、ア-1(2)③の取組について実施する。 ○都道府県は、精神障害者の保健・医療・福祉・労働に関する施策を総合的に推進するため、関係部署が連携し、組織横断的に地域移行支援を推進するとともに、効果的な人材育成の仕組みについて検討することが必要である。

3.病院の構造改革の方向性

○精神病床については、精神科救急・急性期・回復期の精神障害者、重度かつ慢性の症状を有する精神障害者といった入院医療が必要な患者がいる病床と、急性期等と比べ入院医療の必要性が低い患者が利用している病床とを分けて考えることが必要。 ※重度かつ慢性の定義は現在検討中 ※身体合併症患者については、病状等が様々であることからその入院医療の在り方については別途検討が必要 ※新たな入院患者は原則1年未満で退院する体制整備により、現在の入院医療の必要性が低い患者が利用する病床にはできる限り流入しないことが前提 ○病院は医療を提供する場であることから、入院医療については、精神科救急・急性期・回復期の精神障害者及び重度かつ慢性の症状を有する精神障害者に対するもの等に集約することが原則。 ○急性期等と比べ入院医療の必要性が低い患者については、2.の各種方策を徹底して実施することにより、これまで以上に地域移行を進める。 ○その上で、急性期等と比べ入院医療の必要性が低い患者が利用している病床について、 (1)病床が適正化され削減されるまでの過程において、地域移行支援機能を強化する方策と、 (2)病床の適正化により将来的に不必要となった建物設備を有効活用する方策、について議論し、取りまとめた。 ○なお、こうした構造改革のためには、必要な医療に人員と治療機能を集約できる財政的な方策が併せて必要。 ○このような方策を進め、病床の適正化により不必要となった病院資源(人員・建物設備)は、精神科救急・急性期・回復期の入院機能、外来・デイケアアウトリーチ等の機能又はその他の地域生活を支えるための医療機能の充実に向けられることとなる。 ○また、第4期障害福祉計画に係る国の基本指針においては、1年以上の長期在院者数について、平成29年6月末時点で平成24年6月末時点と比べて18%以上削減することを目標値としており、併せて、医療計画における精神病床に係る基準病床数の見直しを進めることとしている。 ○障害福祉計画に基づく取組や、病院の構造改革の結果、長期在院者数が減少し、精神病床が不要となり、減床した病院があったとしても、別の病院が増床すれば、全体として病床数が減少しないこととなる。そのため、これらの取組の効果を低減させないための方策について検討する。

(1)病床が適正化され削減されるまでの間、地域移行支援機能を強化する方策 病床が適正化され削減されるまでの過程において、当該病床を利用する精神障害者の地域移行をより一層進めるため、以下の方策を検討する。 ① スタッフの配置等 ・急性期等と比べ、入院医療の必要性が低いことから、医師等の医療スタッフよりも、むしろ地域移行への支援や訓練に必要な職種を厚く配置する。 ・病院の管理者及びスタッフ等に、地域移行に関する研修を行う。 ② ハード面での方策 ・外部との交流を推進する観点から、病院は内外の者が集う場所を提供する。 ・病院内設備については、より地域生活に即した形にする。 ③ ソフト面での方策 a.外部との交流 ・外部との交流を推進し、保健所スタッフ、地域の相談支援事業者、ピアサポーター等が患者と面談を行う機会を提供する。 b.訓練等(地域移行に向けた訓練や支援をいう。)の進め方 ・訓練等については、既存の医療サービスの他、既存の福祉サービスについても積極的に活用する。 ・計画的な訓練や、退院に向けたクリティカルパスを作成するなど、可能な限り早期に退院できるように支援を行う。 ・訓練等の実施場所については、病院外施設を積極的に活用するが、地域における体制整備が不十分な場合は、訓練期間を定める等の条件付きで、院内で行う。 c.訓練等の内容 ・訓練等の内容については、食事、金銭・服薬管理等の生活訓練の充実を図り、地域生活への移行を促すものを中心に行う。 ・患者自身が病状を適切に把握し、再発を予防する観点から、適切に服薬や通院ができるようになるための訓練等も行う。 ・リハビリテーションプログラム(作業療法を含む。)については、地域移行に必要な能力の向上等を図るため、地域住民及び外部の支援者やピアサポーター等と交流する機会の提供や、地域生活の実際的なプログラム(外出を伴う等)等を積極的に行う。 ・デイケアが必要な患者については、地域移行を支援する観点から、地域生活を送る患者と同程度に受けられる機会を確保する。 ・高齢者等の運動能力の低下が危惧される患者については、通所リハビリテーションの利用等により、運動能力の維持向上を図る。 d.その他 ・病院は患者の地域移行を積極的に支援する(経済的な自立、退院後の居住先の選定等)。 ・入院中の精神障害者が、退院後に利用可能な障害福祉サービス、介護保険サービスについて検討と準備(障害支援区分認定、要介護認定を含む支給決定の申請手続に対する支援等)ができるよう支援を行う。

(2)病床の適正化により将来的に不必要となった建物設備を有効活用する方策 ○病床の適正化により不必要となった病院資源のうち建物設備の有効活用については、病院の経営判断により、医療法等の関係法令を遵守した上で、以下a~c のいずれの選択肢も取り得る。 a.医療を提供する施設等としての活用(精神科救急・急性期病床、外来・デイケアアウトリーチ、訪問診療・訪問看護等の施設) b.医療を提供する施設等以外としての活用(居住の場) ※b.の場合、居住の場としては、グループホームのほか、精神障害者以外の人も含めた住まいとして、軽費老人ホーム認知症高齢グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅特別養護老人ホーム養護老人ホーム、民間の賃貸住宅等が考えられる。 なお、医療法人は、基本的に明確に病院と区分した上で、グループホーム軽費老人ホーム(ケアハウスのみ)、認知症高齢グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等の設置を検討できる。それ以外の場合は、基本的に明確に病院と区分した上で、病院の開設者と別の者が居住の場として施設を開設する必要がある。 c.医療を提供する施設等以外としての活用(居住の場以外) ※c.の場合、居住の場以外としては、宿泊型自立訓練事業所・短期入所事業所等の障害福祉サービス事業所、介護保険サービス事業所、地域コミュニティのための施設等が考えられる。 なお、医療法人は、基本的に明確に病院と区分した上で、宿泊型自立訓練事業所・短期入所事業所等の障害福祉サービス事業所、介護保険サービス事業所等の設置を検討できる。それ以外の場合は、基本的に明確に病院と区分した上で、病院の開設者と別の者が居住の場以外の施設を開設する必要がある。 ○こうした中、a.又はc.については、現行法令に則って適宜活用されるべきものであるが、こうした活用のされ方がより推進されるようにすべきとの意見があった。 ○b.の居住の場としての活用については、本人の自由意思の担保、第三者の関与、利用期間の限定等一定の条件の下に認めるべきとの意見が多かった。一方、いかなる条件においても認めるべきでないという意見もあった。

<居住の場としての活用も可との意見> 【活用の前提】 ・現行法令下でも、精神障害者に限定せず、精神障害者以外の人の利用を含めた居住の場としての活用は可能。グループホームを含め、精神障害者が居住の場として利用する場合は、権利擁護の観点からも人権侵害や不必要な管理等の行うべきではない制限や規則などを明確にすべき。 ※グループホームについては、現行においては、「住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設又は病院の敷地外にあるようにしなければならない」とされている。なお、各自治体が地域の実情に応じて条例において別の定めをすることが可能。 【活用の場合に必要な条件】 ・本人意向の最大限尊重、契約行為が前提であり、本人の自由意思を担保する仕組みを設けるべき。(入居後も継続的に意向確認すべき) ・精神障害者の入居時は第三者が関与すべき。 ・外部との面会や外出を自由にすべき。 ・食事、日中活動の場等の自由を担保すべき。 ・居住の場のスタッフについて、病院スタッフとの兼務は認めないべき。 ・利用期間を限定すべき。 ・運営に係る第三者評価を行うべき。 ・入居後も本人の意思に沿った地域移行を促すべき。 ・地域における居住資源が不足している場合に限定して設置を認めるべき。 ・病院が地域から孤立していない場合に限定して設置を認めるべき。 ・高齢で介護を必要としている精神障害者向けの支援として検討すべき。 ・時限的な施設とすべき。 ・構造的に病院から一定の独立性を確保すべき(外階段など)。

<居住の場としての活用は否との意見> ・治療関係という主従関係をベースとした場所に居住の場を作ると、権利侵害が起きる可能性が高い。権利侵害が起きる可能性は厳に回避すべき。 ・障害者権利条約から考えて、居住施設は駄目という前提のもと、居住の場以外の議論をしっかり行うべき。 ・不必要となった建物設備を居住の場として使うのは、医療による精神障害者の抱え込みの構図である。 病棟転換型居住系施設について考える会 stopbttk@yahoo.co.jp 6月26日(木)は、みんなで日比谷野外音楽堂(東京都・日比谷公園内)へ!! 《手話・要約筆記あり》 この『速報』は、複写、転送、転載、大歓迎です。ご自由かつ積極的にご活用ください。

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